020 ドローンの操縦が上手くなっても収入が増えるわけではありません。

ドローン大学校に入校されて来られる方には「ドローンの操縦が上手くなりたい!」という方はあまりいらっしゃいません。「ドローンをビジネスにしたい!」という方ばかりです。皆さんはこの違いが分かりますか?

 

話はかわりますが、飲食チェーン店舗数ランキング世界一は、何という企業かご存知ですか?マクドナルドでもスターバックスでもなくサブウェイです。マクドナルドが二位、スターバックスが三位です。では、サブウェイのサンドイッチが、世界一美味しいサンドイッチでしょうか?マクドナルドのハンバーガーが、世界一美味しいハンバーガーでしょうか?スターバックスのコーヒーが、世界一美味しいコーヒーでしょうか?答えは「NO」ですよね!飲食業にとって「美味しい」は最重要リソースだと考えているようでは、これらの企業が世界をリードする飲食チェーンに成長しなかったと思います。もちろん「美味しい」は重要なリソースですが「価格」も同様に重要なリソースですし、スタッフの「接客」や、店内の「内装」など重要なリソースはいくつもあります。「それらのバランス」が重要だということです。では「それらのバランス」とは何でしょうか?一言で例えるなら「顧客のニーズ」です。

 

ドローンの世界に当てはめて考えれば、操縦を厳しく教えるスクールを修了して、高い操縦技術を身に付けたからといって、ドローンのビジネスで成功するわけではありません。例えばドローン空撮の場合は、安全な運航が可能なレベルであれば、操縦が上手くなくともクライアントが望む撮影を自動操縦で撮影できればいいし、もっと言うなら自分ができるレベルのお仕事をたくさん受注すればいいわけです。つまりここでいう「自分ができるレベル」というのは「クライアントが望むこと」という意味です。クライアント全員が難しい操縦を求めているわけではなく、自分ができるレベルを望むクライアントを選べばいいという意味です。

 

以前僕は、大手企業さんから「新卒採用用動画の制作」をご依頼いただいたことがありました。そして完成した作品をTVのお仕事をされている修了生に見ていただきました。「TV業界の方から見ればツッコミどころが満載ですよね?」と喧騒してお見せしたところ「確かにツッコミどころが満載ですね」と言われてしまいました。しかし、納品した大手企業さんからは「新卒採用応募人数が昨年の倍になった!」とお褒めいただきました。つまり、大手企業さんは「出来の良い動画」が欲しかったわけではなく「新卒採用応募人数が増える動画」が欲しかったわけです。これこそが「クライアントが望むこと=バランス」という意味です。

 

2019年に世界で一番売れたクルマは、ロールスロイスやフェラーリではなく、トヨタのカローラ(1,482,932台)ですし、世界で一番売れたアパレルはエルメスやシャネルではなく、一位はZARAで、二位はユニクロでした。クルマを作り始めたばかりのメーカーが、ロールスロイスやフェラーリと同等のクルマを作るのと、カローラと同等のクルマを作るのとではどちらが難易度が低いでしょうか?アパレルを作り始めたばかりのメーカーが、エルメスやシャネルと同等のアパレルを作るのと、ZARAやユニクロと同等のアパレルを作るのとではどちらが難易度が低いでしょうか?

 

難しい操縦技術を競うドローンの試験があるようですが「その試験に合格すること」と「ドローンのビジネスで成功すること」は全く異なることであり、どちらが自身のビジョンに合っているか?を考えたうえで、誤った時間やお金の使い方をしないようにしていただきたいと考えています。