018 ドローンで稼ぎたいなら今すぐ農薬散布を始めなさい!
「ドローンスクールを卒業したがドローンの仕事なんてない」という声を聞くことがありますが、ホントでしょうか?インプレス総合研究所が発行する「ドローンビジネス調査報告書 2020」には「2021年は2,401億円の市場がある」と記されています。国内のプロドローンオペレーターが何人いるのか正確な数字は分かりませんが、日本最大の民間資格管理団体であるJUIDA(一般社団法人 日本UAS産業振興協議会)のウェブサイトには「操縦技能者は約12,000名」とあるので「操縦技能者ひとり当り約2,000万円の市場がある」ということです。
新型コロナウイルスで打撃を受けた飲食業界のひとり当りの売上が約800万円、宿泊業界のひとり当りの売上が約1,300万円ですから、それらの業界に見切りをつけ、ドローン業界に転身するという方の判断は、数字上正しいでしょう。ではなぜ「ドローンスクールを卒業したがドローンの仕事なんてない」という方がいらっしゃるのでしょうか?僕はそんな方々は「ビジネス偏差値の低い方」だと感じています。今すぐドローンで稼ぎたいなら何をすれば良いか?それをデータから探ってみましょう。インプレス総合研究所の「ドローンビジネス調査報告書 2020」には次のようなデータが掲載されています。
このデータを見て、どの分野のお仕事をすれば「稼げる」のか分かりますか?「点検」が分野別市場高一位なので「点検」が最も可能性があると考える方も少なくないでしょう。しかし、今年の市場高を見るだけで正解がわかるでしょうか?「今年の市場高」を見ることは重要ですが、いつからその市場がボリュームを持ち始めたかを見ることも重要です。このデータは2016年(5年前)からのデータですが、2016年の分野別市場高を見ると「農業」がトップでした。第二位の「土木・建築」の約4倍、第三位の「空撮」の約10倍です。2016年当時は「農業」しかなかったと言っても過言ではありません。このデータによると「農業」の市場が最も歴史があることが分かります。歴史があればあるほど黎明期から成長期に市場が拡大します。
黎明期にある市場でビジネスを始めれば、ライバルが少なく高利益のビジネスが期待できますが「案件」がゴロゴロしているわけではなく、「案件」を創って行くところから始めなければなりません。営業活動を行っていて「ドローンで御社の事業ができることをご存知ですか?」というところから、お話を始める必要があります。「これまでドローンなしで行って来た業務にドローンを導入して、事故が起きたら担当者は悪い評価を受ける、これまで通りやっていて悪い評価を受けることはない」と考える担当者が多いので、業務を受注することは困難でしょう。もし案件を受注できたとしても試験的な発注になるので、高額でない小さなロットの発注に止めることになるでしょう。でも「農業、土木・建築、空撮」の分野であれば、事故のリスクを心配することなく「サービスの内容や価格によっては他の業者に切り替えようか?」と考える担当者がいても不思議ではありません。
「物流」の分野は2025年には大きな市場に成長することが予想されていますが、2021年時点では小さな市場に過ぎません。すぐに「物流」の分野にチャレンジしても大きな売上は期待できません。しかし、2025年になれば市場は成長し大きな売上を期待でき、さらにライバルの少ないブルーオーシャンであることが予想され、その時点から「物流」の分野に参入することは良い選択かも知れません。ビジネスにおいて、①どんなサービスをやるか?②いくらくらいでやるか?という要素も重要ですが、③いつから始めるか?ということも重要です。変化の激しい現代では、③いつから始めるか?が最も重要なのかも知れません。
「世界時価総額ランキング一位のApple inc.は、革新的な商品を生み出している」と、思っている方が多いと思いますが、Apple 1を発売した1976年にはIBMやHPがコンピューターを販売していましたし、2001年に発売したi-podが登場する22年前の1979年に、SONYはウォークマンを発売しました。最近では、i-Phone 12から5Gに対応しましたが、ライバルのSamsungは2019年2月に発売したSamsung Galaxy S10から5Gに対応していたので、2年近く遅れていたことになります。でも、iPhone 12を購入された方の中で「もっと速く5Gに対応して欲しかった」という方はどの位いらっしゃるでしょうか?「供給は需要の上にしか存在しない」ということです。
農業分野のドローンが行うビジネスで大きな売上が期待できるのは「農薬・肥料散布の請負サービス」です。この市場は2030年には2018年比25倍に拡大すると予測されています。この「農薬・肥料散布の請負サービス」の世界には「適期防除」という言葉があります。農薬・肥料の効果が最大化するタイミングで作業を行うという意味です。ビジネス全般においても「適期」を意識した者が勝者となる時代です。