012 いまのドローンビジネスは1971年のカップ●●●ルと同じようなものだ
先日、一般社団法人ドローンビジネスインキュベーションセンターという名称の団体を設立しました。この団体は、優秀なドローンパイロットやドローンエンジニアに向けて、 経営の戦略・企画・管理やビジネスアイデアの創造の支援を目的とした組織です。
この組織を設立した最大の理由は、ドローンスクールを卒業しても思うようにドローンをビジネスに活かすことができない方が多く、そんな方々と共に新たなドローンビジネスを創造したいという想いからです。
そのカンファレンスでドローンビジネスについて語らせていただく場面がありました。そこで私は「現在のドローンビジネスは1971年のカップヌードルと同じようなものだ」と語りました。
カップヌードルは、1971年9月18日に日清食品が発売した世界初のカップ麺ですが、その発売以前に同社の主力商品であったチキンラーメンを食べやすくする発想から生まれた商品です。現在では世界累計販売食数が400億食を超える(2016年3月)ロングセラー商品に成長しましたが、発売当時から順調に販売できたわけではありません。
ところが、1972年2月のあさま山荘事件の際に、警察官たちに配給された弁当が摂氏マイナス15度前後の寒さで凍ってしまい、熱湯を注いて3分ですぐに食べられるカップヌードルが非常食として導入されました。そして、機動隊員達がカップヌードルを食べる姿が日本全国に生放送されたことがきっかけで、全国に広く告知することとなり、以降ロングセラー商品に成長して行きました。
つまり、多くのヒトが知らなかったモノが、世の中のためになることを知ることになったわけです。すでにドローンの操縦を初めているヒトにとっては知っているモノでも、世の中の大半のヒトはドローンをよく知りませんし、ドローンが世の中のためになるとは思っていないでしょう。
でももし、ドローンが浮き輪を運び溺死寸前の方を助けたり、火災現場で消火活動を行ったりする様子を広く報道される機会が来れば、多くの方に受入れることになるでしょう。その瞬間が、明日来るのか?1年後に来るのか?2年後に来るのか?それは誰にも判りません。でも、その瞬間が来るまでドローンの種火を消さず、一気に世の中に広がる機会に燃料全開にするべきではないでしょうか?
そんな瞬間を前に、ドローンスクールを卒業して、空撮をやってみた、スクールを開校した、でも上手く行かなかった。やっぱりドローンはビジネスにならない・・・。そんなことをおっしゃる方を何人も見て来ました。
2015年のフォーブス″日本を救う起業家ベスト10″に名を連ねる株式会社メタップス 代表取締役社長 佐藤航陽氏は、著書「未来に先回りする思考法」の文中で「ビジネスは統計的に見ると9割が失敗します。残った1割のうち十分に利益が出せるようになるのはさらに1割程度です。つまり99%はうまくいきません」と論じています。
ドローンスクールを卒業して、空撮をやってみた、スクールを開校した、たった1つか2つのビジネスしか試していないにも関わらず、やっぱりドローンはビジネスにならない・・・なんて言ってたら、佐藤航陽社長から叱られそうです。
小さい投資でいくつものドローンビジネスを試し続ける・・・そして、ドローンビジネスが一気に世の中に広がる機会に燃料(リソース)を全開にしてください。冒頭に書いた一般社団法人ドローンビジネスインキュベーションセンターは、その瞬間に全開にするための「燃料」になりたいと考えています。