002 航空法はドローンを飛ばそうと思っている人が知っておくべき法令です
法令は共生のための相互尊重のルールであり、国民の生活をより豊かにするために存在するもの*1ですから、 ドローンを飛ばすときも法令を遵守することは重要です。
民間の航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止などを目的とする法律である”航空法”では、ドローン(無人航空機)を飛行させる場合に、あらかじめ地方航空局長の許可を受ける必要がある3つの空域と、あらかじめ地方航空局長の承認を受ける必要がある6つの飛行の方法を以下の通り定めています。
「あらかじめ地方航空局長の許可を受ける必要がある空域」
(A)空港等の周辺の空域
(B)地表又は水面から150m以上の高さの空域
(C)平成27年の国勢調査の結果による人口集中地区の上空
「あらかじめ地方航空局長の承認を受ける必要がある飛行の方法」
(1)日中(日出から日没まで)に飛行させること
(2)目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
(3)人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
(4)祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
(5)爆発物など危険物を輸送しないこと
(6)無人航空機から物を投下しないこと
上文に該当する飛行をする場合は、3~4週間程度余裕をもって地方航空局又は空港事務所あてに許可・承認申請書を提出し、飛行前に許可・承認を受ける必要があります。この許可・承認申請書は、飛行の目的、飛行日時・経路(場所)・高度、機体のメーカー・名称・重量・機能・性能、 安全を確保するために必要な体制 、 賠償責任保険への加入状況 、緊急連絡先など、ドローンの飛行に関する詳細な情報を16枚程度の定められた様式に記します。
許可・承認申請書を書くことは、経験のない方にとっては大変なことですが、ドローンスクールで航空法を学ばれた方であればできるべきことですし、行政書士 吉田ともえ事務所などの行政書士事務所でも許可・承認申請を代行してくれます。しかし、誰でも許可・承認申請書を提出できるわけではなく「無人航空機の飛行経歴並びに無人航空機を飛行させるために必要な知識及び能力*2」として、次に掲げる知識及び能力があることが前提です。
(1)飛行を予定している無人航空機の種類(飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行 船のいずれか)別に、10時間以上の飛行経歴を有すること。
(2)次に掲げる知識を有すること。
a)航空法関係法令に関する知識(無人航空機に関する事項)
b)安全飛行に関する知識
・飛行ルール(飛行の禁止空域、飛行の方法)
・気象に関する知識・無人航空機の安全機能(フェールセーフ機能 等)
・取扱説明書に記載された日常点検項目
・自動操縦システムを装備している場合には当該システムの構造及び取扱説明書に記載された日常点検項目
・無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制
・飛行形態に応じた追加基準
(3)飛行させる無人航空機について、次に掲げる能力を有すること。
a)飛行前に、次に掲げる確認が行えること。
・周囲の安全確認(第三者の立入の有無、風速・風向等の気象 等)
・燃料又はバッテリーの残量確認
・通信系統及び推進系統の作動確認
b)遠隔操作により飛行させることができる無人航空機の場合には、a)の能力 に加えて、GPS(Global Positioning System)等による位置の安定機能を使用することなく、次に掲げる能力を有すること。
ア)安定した離陸及び着陸ができること。
イ)安定して次に掲げる飛行ができること。
・上昇 ・一定位置、高度を維持したホバリング(回転翼航空機に限る)
・ホバリング状態から機首の方向を 90°回転(回転翼航空機に限る)
・前後移動 ・水平方向の飛行(左右移動又は左右旋回)
・下降 c)自動操縦により飛行させることができる無人航空機の場合には、a)の能力 に加えて、次に掲げる能力を有すること。
ア)自動操縦システムにおいて、適切に飛行経路を設定できること。
イ)自動操縦システムによる飛行中に不具合が発生した際に、無人航空機を 安全に着陸させられるよう、適切に操作介入ができること。なお、操作介入が遠隔操作による場合には、b)の能力を有すること。*2
つまり、地方航空局長の許可を受ける必要がある3つ空域と、承認を受ける必要がある6つの飛行の方法でドローンを飛行させる場合、上文に該当する知識と能力を修得し、許可・承認申請書を提出し、地方航空局長より許可・承認を得て、はじめてドローンを飛行させることができるわけです。
POINT ❶ 航空法では飛行前に地方航空局長の許可を必要とする”3つの空域”が定められている
POINT ❷ 航空法では飛行前に地方航空局長の承認を必要とする”6つの飛行の方法”が定められている
POINT ❸ 許可・承認申請をするためには、国土交通省が定める「無人航空機の飛行経歴並びに無人航空機を飛行させるために必要な知識及び能力」が必須
*1 引用 2015年3月27日初版発行『法やルールって,なぜ必要なんだろう? ~私たちと法~』法教育推進協議会(法務省)発行
*2 引用 平成27年11月17日制定(国空航第 684 号、国空機第 923 号)『無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領』国土交通省航空局 発行