005 ドローンの資格を取得しても簡単に仕事がないことを知っていますか?

これまでの記事ではドローンを飛行させる際に最も関わりのある航空法について書きましたが、今回は「これからドローンを始めようかな?」とお考えのドローンビギナーさんにドローンのお仕事について書かせていただきます。
 
私は”一般社団法人 ドローン大学校”というドローンの民間資格取得を目指すドローンスクールの理事長を努めており、入校を検討されている方に向けて定期的に無料学校説明会を行っています。
 
その席でお話することは「ドローンスクールに通って民間資格を取得してもお仕事は待っていません」ということです。「ドローンのビジネススクール」というスローガンを掲げている当校が、これからドローンの民間資格を取得して仕事に活かそうと考えている方に対して「仕事は待っていない」というと、多くの方が驚かれますが事実です。
 
インプレス総合研究所著『ドローンビジネス調査報告書2017』によると、日本国内のドローンビジネスの市場規模は、2015年が175 億円、2016年が353億円、2017年は533億円、2022年度には2,116億円(2016年度の約6倍)に達すると見込まれています。
 
ところが、農薬散布・空撮・土木測量・設備点検・インフラ点検・精密農業・搬送物流・防犯監視などのドローンを使ったサービスは、現時点ではまだまだ黎明期の状態です。さらに、改正航空法が施行された2015年12月10日から2016年12月9日までの1年間で、国土交通省は12,300件の申請(事前相談を含む)を受け、10,120件の許可・承認を行っている*1ことからすると、既に多くの方がドローンを使ったサービスを行っていると考えるべきです。
 
さらに最近では、放送局、制作会社、測量会社、設備会社、行政・・・という専門分野のプロフェッショナルが、企業派遣で当校に入校されています。この専門分野のプロフェッショナルたちが当校で、ドローンの安全な運航に必要な知識と高い操縦技術をマスターすれば、最強のドローンパイロットになるでしょう。
 
既に1万人以上の先輩がいて、またドローンの高い操縦技術をマスターした専門分野のプロフェッショナルが生まれている市場で、これから、空撮や測量を仕事にしようと専門知識がない方がドローンスクールに入校して民間資格を取得したところでお仕事があるというのは”甘い考え”であることは少し考えれば分かることではないでしょうか?
 
では、ドローンの市場を”職場”と考えることは間違っているのでしょうか?それでも私はドローンの市場を”職場”と考えていますし、私自身が他の業界からドローン業界に参入し事業を続けることができていますし、多数の当校修了生がドローン業界を職場としています。
 
ではどう考えるべきか?ドローンの市場を”職場”としたいなら”イノベーション(innovation)”を考えるべきです。”innovation”という言葉は、1911年にオーストリア出身の経済学者であるヨーゼフ シュンペーター(Joseph Alois Schumpeter)によって”新結合”と定義(著書ではさらに複雑な表現をしています)されました。つまり、何かと何かを組み合わせるという意味です。つまりドローンと何かを組合わせるということです。
 
当校の修了生で、VIEWN(ビューン)というブランドを設立して小売店まで作った方がいらっしゃいます。この方の場合は、「ドローン × モード」という”新結合”を生み出しました。素晴らしいイノベーションは、結合しないような要素が組み合わさることで大きな成功に繋がることがあります。VIEWN(ビューン)社長の動画を添付しておきますので、是非ご覧ください。
 

 
専門分野のプロフェッショナルでなくドローンの市場を”職場”と考える方が選ぶべきドローンスクールは、空撮や測量の知識を指導するスクールではなく、ドローンの安全な運航に必要な知識と高い操縦技術+イノベーションを生み出す指導をするスクールだと私は考えています。
 

画像 Joseph Alois Schumpeter*2
 
POINT POINT ❶ ドローンを使ったサービスは黎明期なのでお仕事が待っているわけではない。
POINT ❷ ドローンで 空撮や測量などのお仕事をされている方は既に1万人以上いる。
POINT ❸ ドローンの市場を職場としたいなら”イノベーション(新結合)”を考えるべき。

 
*1 引用 2017年3月23日初版発行『ドローンビジネス調査報告書2017』株式会社インプレス 発行
*2 引用 Kommentarer STORE NORSKE LEKSIKON( https://snl.no/Joseph_Schumpeter )